watch and wait 、これはがん治療に関する用語です。
何を「見て」「待つ」のかを書いていきますね。
直腸がんを例にします。
直腸がんの治療の第一選択肢は手術で病巣とその周囲を切り取るというのですが
これは人工肛門が必要になります。
日本の消化器外科の技術はレベルが高いので人工肛門を必要としないよう、肛門を残して病巣部を切除し腸をつなぎなおすという方法も実施されています。
しかし、術後に自分の肛門がうまく機能しなかったり場合によっては神経の損傷により排尿障害が生じたりします。
以前は日本よりも手術の成績が若干劣っていた海外では、病巣を小さくしたり再発を防ぐために手術前に化学療法と放射線治療が実施されます。
手術前の化学放射線治療というのはアメリカなどでは標準治療だそうです。
研究によって結果に多少のバラつきがありますが、直腸がんに対しての手術前の化学放射線治療によって10ー40パーセントの患者さんでは患部のがんが消失するという報告がされています。
そして術前化学放射線治療によってがんが消失した患者さんを対象として実施が検討されるのがWatch and wait です。
がんが消失した可能性が高いということで手術せずに経過を見守っていくという治療法です。
アメリカの統計では再発率や生存率は切除手術した場合とほとんど変わらないと報告されています。
再発率や生存率にはほとんど差がありませんが、臓器が温存されるWatch and wait は臓器を切除する手術結果と比べて機能障害がほとんどないためQOL(生活・生命の質)が圧倒的に高いという結果が出ています。
もちろん手術後と同様に経過観察中に再発したり遠隔転移している場合もあります。
そういったリスクを患者さん自身もよく理解し覚悟しておくことは大事だと思います。
良いこと尽くしの治療法があれば良いのですが現時点でそれを望むのは難しいことですよね ...
Watch and wait はアメリカやヨーロッパの直腸がん治療ガイドラインには記載されているくらい一般的な治療法の一つらしいのですが日本ではこれからといった感じでしょうか
昨年、がん研有明病院がホームページ上で37人の大腸がん患者さんに対してWatch and wait を実施したと報告しています。2016年から2021年2月までの間で37人ですので、かなり慎重に実施されてように思えます。
日本のガイドラインでは手術前の化学療法や放射線治療についてもあまり積極的とは言えません。
これは手術せずに化学療法や放射線治療をしている間にがんが進行したり転移したりなど悪化してしまう等の可能性を考慮しているようです。
そもそも化学療法と放射線治療の副作用にがんがありますので、さらに判断が難しいと思います。
さらに手術の技術を磨いてきた日本の消化外科にとって術前の化学療法や放射線治療で健康な細胞まで破壊されしまうということは、術後の傷の治りが悪くなったり免疫力の低下により感染等のリスクを高めてしまうため、あまり歓迎できないという考え方もあるかと思います。
今のところどういった治療がその患者さんに良い結果をもたらすのかを科学的に判断することは難しい状況ですが、患者さん個人個人が情報を集めて納得のいく方法を選択することが大切だと思います。
以上の内容に関しては
「術前化学放射線治療」や「Watch and wait 」「がん治療」などで検索すると様々な情報が得られると思います。
ちなみに大腸がんに対しての理学療法としましては
60分以内の軽めの運動が大腸がん細胞のアポトーシス、つまりがん細胞の死滅を促すという報告があります。
がんに関連するものとしては運動は化学療法や放射線治療の副作用を軽減するという報告もあります。
運動をするときに大事なのは無理をしないということです。
睡眠不足、栄養不足の状態で過剰に運動をすると逆効果です。
きついときには無理をせず体調が少し良いと思う時に歩いたり、
寝たまま足を上げ下げしたり足首や手首を動かすなど、
その時の体調に合った運動を疲労しない程度に行いましょう。
疲労は免疫力を低下させますので絶対に無理をしないようにしましょうね。
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