小説:田舎でPT⑤貧乏性?

田舎の理学療法士の日常を描いたフィクションです。

私は貧乏性である、名前は・・・セラ。

貧乏性と言っても、ガチのではなくマイルドな貧乏性、そうマイルドな。

無駄な時間は過ごしたくないし

買い物もなるべく安いものを買いたいし

靴下に穴が開いてても機能的に問題ない程度なら捨てずに履き続けるし

でも、スイーツは大好き!

この前もテレビで紹介されてたプリンをお取り寄せ、美味しかったなぁ。

そんなマイルドな貧乏性の私が患者さんの検査画像を見るとどうなるのか

頸部椎間板ヘルニアによる腕のシビレで理学療法のオーダーが出た清水さん。

頸椎が撮影されたX線画像を見てみると、側面の画像で第5・第6頸椎椎間板の高さが減少していてる。

「たぶん、このレベルのヘルニアなのかな?・・・あれ?」

喉頭蓋谷に変な影がある。

放射線科の医師なら当然のことなのかもしれないが、貧乏性の私はせっかく画像を撮影したのだから全部を見ないともったいないと考え、椎体だけでなく気道などとにかく全体を見ようと毎回努力している。

MRI画像を見てみると第5・第6椎間の椎間板にヘルニアがあった。

そして喉頭蓋谷にもT2強調画像で白く見える何かが確かにあった。

気になったので清水さんのリハビリの時間に「清水さん、喉の調子とか悪くない?」

と聞いてみた。

「なんで分かったんですか!」

「去年くらいから喉に何かあるみたいな感じがして咳が出たりするんです」

「いや、たまにせき込んでるのが気になって。また担当医に相談してみると良いかもしれませんね」

「整形外科の先生でも咳に対応してくれるんですか?」

「いや、必要であれば専門医を紹介してくれると思いますよ」

「じゃあ、次の診察の時に相談してみます」

「こちらからも情報として担当医に話をしておきますね」

やっぱり何か関係ありそうだなぁ

悪性のものの可能性もあるし、早めに紹介してもらえるようにしないと。

その日の夕方、診療を終えた医師に相談しに行ってみた。

「片山先生、お疲れ様です。」

「富井寺さん、お疲れ様。またなにかあった?」

「またって・・・はい、ありました。」

「外来の清水さんの件なんですが、喉頭蓋谷が気になりまして」

そういって画像を見てもらった。

「ここにMRIでも確認できるんですけど」

「はぁ、確かに。毎回よく見てるねぇ」

「去年くらいから咳も続いているようなので呼吸器の専門医を紹介してくれますか?」

「そうだねぇ、これは専門外だからすぐにでも紹介先を探すよ」

「宜しくお願いします。」

清水さんの診察の日

「富井寺先生、さっき片山先生の診察でレントゲンとか説明をしていただいて、大学病院を紹介してもらいました。」

「あんな所までちゃんと見て病気を見つけてくれるなんて、さすがはお医者さんですね。片山先生に担当していただけ本当に良かった!名医ですね!」

「・・・そうですねぇ、さすがは片山先生」

だめだ、ゆがんだ笑顔しかできない

まぁ、理学療法士の開業権がない日本では仕方ないことだけど・・・

悪い言い方をすると、医者に手柄を横取りされる日々・・・ではありますが

とにかく清水さんの病気がどんなものか分かる手伝いが出来たから良しとするか。

ちゃんと治療ができる病気だと良いなぁ

「あ、富井寺さん、清水さんは医大の呼吸器内科を紹介したから」

「そうみたいですね、良かったです」

「清水さん、片山先生に病気を見つけてもらった。名医だって言ってましたよ」

「あぁ、そうなんだ・・・・・」

「あぁ、喉が渇いたなぁ。そこの自販機で誰かジュース買ってくれないかなぁ」

「富井寺さん、ジュース、俺が買ってリハ室に持っていくから。これでいいかな」

「いいんですかぁ、さすが名医様は察しがいいですねぇ」

「いやぁ~、それほどでも・・・じゃあ後ほど持参しますのでしばらくお待ちください」

「宜しくお願いします」

そう、私は貧乏性。

ジュースは買うものでは買ってもらうものだ

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