田舎の理学療法士の日常を描いたフィクションです。
さぁ、今日のお仕事もあと少しだ。
けど、少しお腹すいたなぁ・・・
どんなにお昼をしっかり食べても夕方にはお腹すくんだよなぁ。
たしかここに一口で食べれるあんこのサプリが
飲めるようかんなんて、最高かよーーー!
夕方のプチエネルギーチャージ終了、そして
本日最後の患者さんは、腰痛と左下肢のしびれが主訴の鴨井さん。
事務職で仕事帰りに急いできたようで、制服のスカートのままである。
診断名は腰部椎間板ヘルニア。
椎間板ヘルニアという病名に対し理学療法を保険診療の対象として認めてくれない自治体もあるようなんだけど、ここは大丈夫。
だって田舎だから。
「担当の富井寺といいます、宜しくお願いします」
「あ、女性の先生なんですね、話しやすくて良かったです、宜しくお願いします」
「はい、楽しくリハビリ頑張りましょう!、まぁ、けっこう厳しいですよ」
「楽しい方が良いですね」
「腰と足が痛くてしびれるということでしたが、どのあたりにどんな症状がありますか?」
「前かがみになるような姿勢になると腰と左の太ももの裏に痛みがあって、太ももの裏にはビリビリ電気が流れてるような感じがします」
「それはいつごろからですか?、何か原因のようなものはありますか?」
「昔から体が硬いのを気にしていたら、先週、友人がストレッチのお店に連れて行ってくれて、体をストレッチしてもらったんですが・・・そのあとから痛くなって」
「それまでは症状はなくてストレッチの後から痛くなったんですね」
「はい、太ももの裏を伸ばすストレッチを念入りにしてもらったんですが、それからずっと痛みが続くのでこちらを受診したんです」
「なるほど、ではまず筋肉から確認していきますので膝を曲げるように力を入れていただいても良いですか」
「こうでしょうか」
「そうです、力を入れたときに太ももの裏に痛みはありますか?」
「いえ、痛みはありません」
「そうですかぁ、筋肉の損傷ではないようですね」
「次に、立ってお辞儀をしてもただいても良いですか?痛くなったらそこで止まってください」
「これくらいで痛みが出てきます」
「ではこんな感じで頭だけ上に向けるように首を反らしてみるとどんな感じがしますか?」
「あ、痛みが軽くなりました」
「なるほど、では姿勢を戻して座りましょうか」
「これはTFT誘発テストといって脊髄終糸症候群の症状をみる検査なんです。首の動きで痛みが軽くなると検査結果としては陽性になります」
「悪い病気なんですか?」
「はっきりしたことは医師の診察時になるかと思いますが、大雑把に言うと標準よりも体が少し硬めというだけのことですので、あまり深刻には考えないでくださいね」
「そうなんですね、無理して伸ばそうとしない方が良かったんですね」
「恐らくなんですけ、それまでは症状も出てなかったようですから、過剰にストレッチしなければ大丈夫かと思います。今までも元気に過ごしてきたわけですから」
「なるほどぉ、なんで40も過ぎたのに今更ストレッチしようとしたのか自分でも不思議です」
「とりあえず、医師と相談して追加の検査等もあるかもしれませんがよろしいでしょうか?」
「もちろんです、宜しくお願いします」
「さぁ、いつも夕方のやりとりだ」
担当医を待っていると、不意に後ろから不安そうな声が
「富井寺さん、またまた何かありました」
「はい!もちろんありましたよ、今回も」
「どちらの患者さんでしょうか?」
「腰部椎間板ヘルニアと名医に診断された鴨井さんです」
「ヘルニアじゃなかった・・・ですか?」
「年齢的にも椎間板はある程度傷んでいるかと思いますが、今回の症状の原因と考えるにはちょっと弱いかと」
「ほかの原因ですか」
「はい、先生はTFT誘発テストはされましたか」
「TFT・・・脊髄終糸症候群ですか!」
「その可能性もありますので、確認をお願いしたいのですが」
「はい、謹んで検査させていただきます・・・ジュースも買わせていただきます」
「諸々、宜しくお願いします」
うちの名医の検査後、画像所見でも脊髄終糸症候群が濃厚に疑われ、ご本は手術までは望まないということで現在も理学療法に通われている。
田舎の理学療法士にも活躍の場を与えてくれる、本当に良い名医に私は恵まれている・・・のか?
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