田舎の理学療法士の日常を描いたフィクションです。
さぁ、今日は土曜日、午前中頑張ればお休みです!
終末(週末)効果に期待して頑張ろう!
土曜日は学生の患者さんも学校がお休みだから多いんだよなぁ
若い力に負けないようにしないとね。
ー
3人目の患者さんを終えて、小休止、しようとしたら
「新患さんでーす!」
きたぁーーーー!
少しだけ水分補給して
「はい、何の患者さんでしょうか?」
と看護師さんに聞いてみると
「うーん、とね、なんか足腰の筋力が弱っているから鍛えてって言ってたよ」
「足腰が弱ってるから鍛えてって処方なんだね・・・当院の名医の処方は」
「うん、しかも中学生の女の子なんだけどね、若いでしょ」
「そうですねぇ、中学生に筋トレですかぁ、さすがうちの名医・・・患者さん呼んでもらっていいですか」
「うん、呼んでくるね」
「細野さんです、宜しくお願いします」
「こんにちは、細野さん。リハビリ担当の富井寺です」
「こんにちは」
小さい声であいさつを返してくれた。
「こちらの治療台に腰かけてください。あ、お母さんもご一緒にどうぞ」
そう言って付き添いで来ている母親には椅子に座るように促し
「では、今の症状について教えていただけますか」
「・・・足が痛い」
「どのあたりが痛いのかな?」
「このへん」
と言いながら両方の膝あたりを触れていた。
「そのあたりが痛いんだね」
「じっとしてても痛い?」
「じっとしてるときは痛くない。階段とかで少し痛い」
と娘さんが症状について話していると母親の口が開いた
「そうなんです先生、階段で転んだりすることあって、どうなってるんでしょうね」
「ちょっと集中力がないのか、ボーっとしてるんですかねぇ」
「勉強もしないで寝てばっかりだから睡眠は足りてると思うんですけどねぇ、はっはっはっ」
出たー、母親のマシンガントーク、ここで止めないと
「そうなんですねぇ、若いのに階段で転ぶというのは心配ですねぇ」
「階段で転ぶときには痛いのが原因かな?」
「ほら、先生が聞いてるでしょ、痛いの?痛くないの?」
おかーさーん、少し黙っててくださいねぇ・・・(心の声)
「2週間前くらいから階段を下りてるときに足に急に力が入らなくなるときがある」
「なるほど」
痛いわけじゃないのかぁ、力が入りづらいねぇ・・・
「ちょっと筋肉の反応をみる検査するね、これで膝のところとか軽く叩くけど痛いときは言ってね」
そういって私は腱反射用検査用のハンマーで彼女の膝蓋腱とアキレス腱を叩いてみた。
やっぱり叩いても反応がないかぁ、腕はどうかなぁ
「足の方は少し反応が鈍いみたいだね、腕も検査させてね」
私は上腕二頭筋、上腕三頭筋、腕橈骨筋の反射も確認して、結果は下肢と同じように反応がなかった。
「腕の方も反応が鈍いみたいだねぇ」
「ご飯は好き嫌いは無い?」
「えっと・・・」
「それがですね、聞いてください先生、この子ったら育ち盛りなのに太りたくないとか言ってあんまり食べないんですよ」
「なるほど、豚肉、豆類、緑黄色野菜とかは食べてますか?」
「もともと野菜はあまり食べないんですよ、そして肉や豆類はカロリーが高いとか言って最近はほとんど食べません」
「食べなくなったのはいつごろからですか?」
「2か月くらい前からですかねぇ」
「うーん、だとするとビタミンB群の栄養が不足しているかもしれませんね」
「それが不足するとどうなるんですか?」
「ビタミンB群は不足すると神経の働きが鈍くなって脚気とかになります」
「脚気、あぁー、だからさっき膝を叩いてもピョンってならなかったんですね」
「そうですね、お母さんも経験あるんですね」
「はい、小学校の時に友達と教科書の角で叩いて遊んでました」
「やりますよねぇ」
娘さんに話を戻さないと・・・
「できれば食品から栄養を摂る方が良いんだけど、カロリーを気にするのであれば期間限定でサプリメントも良いかもしれませんね」
「私が責任をもって食べさせますね!、この時代に脚気なんてねぇ」
「ビタミンB群の中には糖分をエネルギーに変えるのを手伝う働きを持つものもあるから、ビタミンB群が足りてないとエネルギー不足になることもありますしね」
「だからいつもダルそうにしてたのかもしれませんね」
「そうですね。あと、糖分をエネルギーに変えた方が太りにくくなるからね」
「そうなんですか、娘だけじゃなく私も食べないと!」
「そうですね、親子で元気になりましょう!お母さんはお元気そうですけど」
「で、そのビタミンBと食べると、最初に診てくれた先生が言ってたオスグッドとかいうのも治るんですかね」
「オスグッド・・・にも良いと思いますよ」
あのアホ医者が保険診療するために適当につけた診断名だなんて・・・言えない・・・
「では、食べ物に気を付けて軽めの運動を続けてみてください。次回は2週間後で」
「ありがとうござました先生、親子で栄養付けてきます!」
「ほら、先生にあいさつして」
「ありがとうございました」
「うん、無理はしなくてもいいけど、なるべく食べてね」
「はい」
「では、2週間後に、お疲れさまでした」
令和に世でも脚気の可能性ってあるんだよなぁ
これで治ってくれるといいけど
それにしても、オスグッドかぁ
説明するこっちの身にもなってほしいもんだ
なんか変な疲れが・・・
ビタミン補給しないと
–
–
これからもリハビリ関連の記事やアフェリエイトで大好きな商品を紹介していきますので
フォローしてくれたら嬉しいです!