小説:田舎でPT⑰しつこい肩こり

田舎の理学療法士の日常を描いたフィクションです。

「昨日食べた本場のジンギスカンは美味しかったなぁ」

などど、昨夜の幸せな記憶に浸りながら治療台で寝ていると

スマホのアラーム発動!

「あぁ、昼休みも終わりかぁ、もう少し幸せな記憶に浸っていたかったぁ・・・」

理学療法士の昼休みの過ごし方TOP3入りするのが、リハ室の治療台でのお昼寝だろう!

意識高めの理学療法士はリハ室で自分のトレーニングしたりするけど・・・無いわぁ

確かにリハ室ってちょっとしたジムにも負けないくらいの機器がそろっていてトレーニング好きには恵まれた環境なんだけど、それと同時に電気治療器や治療台など癒し系アイテムもそろっているという、とても優れた休憩所なんだよなぁ。

理学療法士でよかったと思う瞬間です、意識低めでごめんなさい。

お昼休みもしっかり休んだので午後からのお仕事にも力が入りますね。

と意気込んではみたけど、午後はキャンセルが2人入ってたから比較的緩やかプランだな。

まずは電気治療の方から入っていただこうかな

「武田さーん、電気治療に行きましょうか」

「はい」

武田さんは自宅でネイルサロンをされている女性で首肩の痛みで電気治療に通ってきてる方だ。

「最近、首の痛みはどうですか?」

電気治療器をセットしながら話しかけると

「うーん、やっぱり首肩が硬い感じ、ひどい肩こりがする感じ」

「確かに筋肉がパンパンに張ってますねぇ」

「別に力入れるようなことはしてないのになぁ」

なるほど、そういうことか

武田さんは、どういう動作が首に負担がかかるかイメージがついてないんだな

私は首にかかる動作のイメージを武田さんに持ってもらうために説明を始めた

「頭って4~6㎏くらいの重さがあるんですけど」

「そんな重いんだ」

「そうですね、5㎏のお米買う時に感じる重さですね」

「そうそう、お米5㎏買う時は抱えるのに必死」

「それを片手で持って、少し傾けたら大変ですよね」

「片手で持つのも大変だけど、傾けたら重すぎて持てないかも」

「頭を少し前に傾けた姿勢の時にはそれくらいの負担が首や肩の筋肉にかかってるとイメージしてみたらどうでしょう」

「ネイルしてる時もずっとその姿勢だ、ヤバいね」

「そうですね、あと料理してる時も洗いものしてる時も、掃除機かけてる時も、休憩してテレビやスマホ見てる時も・・・って、けっこうこの姿勢をとることは多いんですよね」

「じゃあ、治るの無理?、仕事辞めた方がいいかな?」

「いえいえ、辞めなくても大丈夫だと思いますよ」

「ただ、生活の中で気を付けていただければ」

「どんなことすれば良いの?体操?ストレッチ?」

「もちろん、体操やストレッチも大事ですがもっと大事なことがあります」

「え、何?」

「もっと大事な事というのは地味聞こえるかもしれませんが、たまに姿勢をまっすぐに戻すということです」

「まっすぐに戻すって、前かがみになってるのをこうやってまっすぐに戻すってこと」

「そうですね、ただそんなに顎を引く必要はなくてですね」

「あ、顎引きすぎ?二重あごになってるね、笑える!」

「ははは、顎を引きすぎても首には負担がかかるので、ちょっと右手を動かしますね」

そういいながら武田さんの右手を武田さんの首の後ろへ移動させる。

「こうやって自分の首の後ろを触ってみると筋肉が硬くなってるのが分かりますよね」

「え、やわらかいよ?」

「あ、そのやらかいのは・・・筋肉の表面にある組織ですね」

「あぁ、脂肪ってことね」

「そんな感じですね、そしてその深部にある筋肉を触れてみると」

「硬っ!、脂肪の下に石がある」

「硬いですよね、それを触ったまま首をまっすぐに戻していきましょう」

「こんな感じかな」

「そうです、そうやって首をまっすぐに戻していくと筋肉が柔らかくなる所がありますよね」

「あ、やわらかくなった!なんか後ろに反ってる感じがするけど」

「いや、後ろには反ってないですよ、前かがみの姿勢に慣れてるから体の感覚もズレちゃってるんです」

「感覚がズレてる・・・だからまっすぐなのに反ってる感じがするんだね」

「そうなんです、まっすぐに戻すことが増えてくれば感覚も修正されますから大丈夫ですよ」

「そうなんだ、でもずっとこの姿勢はつらいね」

「5分に1回を意識して、たまにまっすぐに戻してもらえれば良いですよ」

「それだけでいいんだ、でも5分に1回は忘れちゃいそうだね」

「作業の合間に一度でもまっすぐに戻してあげると筋肉がゆるんで血流も良くなるから疲れにくくなるし負担も減るんですよ」

「なるほどねぇ、今までは休ませずに使いっぱなしだったんだ」

「そうですね、正確に5分に1回じゃなくてもいいので気づいたら一度は筋肉をゆるめて休めてあげてください」

「作業中は特に気を付けるね。しっかり休めるときは頭が重いなら寝たらいいのかな?」

「もちろん寝ると首への負担は減るんですが、大事なポイントがあるんです」

「え、寝るのにもポイントがあるの?」

「はい、ちょうど電気も終わったのでこちら治療台に横になってみましょうか」

「ここに寝たらいいの」

「そうですね、自分が楽に感じる姿勢で寝てみてください」

「じゃぁ、右下で寝てみようかな、あぁ~楽だぁ、寝てしまいそう」

「じゃあ、首の筋肉を触ってみますね」

「あれ、さっき触られたときみたいに硬く感じる」

「自分の手でも触ってみますか、私が武田さんの手を動かしますね」

「あれ、やっぱり硬い。力抜いてるつもりなのに」

「そうなんです、日頃使い過ぎている筋肉を休めるのって意外と難しいんですよ」

「首をまっすぐにしたら力が抜けた、寝るのにも姿勢って大事なんだね」

「そうですね、慣れてくればまっすぐにしなくてもリラックスできるようになると思うんですけど、今はまっすぐさせることを意識したほうがリラックスできそうですね」

「寝てる時まで筋肉を働かせたなんて、かなりのブラック企業だね・・・」

「そうですね、武田さんの身体はブラックでヤバい職場なんで体制を改善したほうが良さそうですね」

「ネイルの仕事中も合間に首の筋肉がリラックスできるように姿勢を変えてみるね」

「はい、そうしてみてください」

「簡単に取り外しできるネイルもあるから、たまには富井寺さんもお店に来てね」

「そんな簡単に取り外しできるのもあるんですね」

「医学と同じで日々進歩してるからね」

「じゃあ、姿勢の確認も兼ねて今度行きますね」

「今日のお礼に美味しいお菓子も準備して待っとくね」

「お礼とか、お気遣いなく・・・・・どんなお菓子ですか?」

「ははは、さすが富井寺さん、美味しいお菓子だから楽しみにしといて」

「はい!!!今週行きます!」

美味しいお菓子ってなんなんだぁ、楽しみすぎる。

美味しいお菓子には人を動かす力がありますよね、はい、あります!

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